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CHAPTER 03 · CREATIVE

制作のための生成AI

文章、画像、動画、音声の制作工程で、条件の伝え方と権利・誤認への配慮を学びます。

約75分画像・動画・音声にも

3章 制作のための生成AI

画像、動画、音声、文章の生成AIは、制作の下書きや試作を速くします。一方で、権利、なりすまし、誤認、品質確認への配慮が必要です。この章では、制作工程の中でAIを安全に使う方法を学びます。

この章の対象者

  • 広報、教材、SNS、企画書などの素材を作りたい方
  • 画像・動画・音声生成AIを初めて使う方
  • 制作物の権利や表現に不安がある方

この章でできるようになること

  1. 目的に応じて、文章・画像・動画・音声生成の役割を選べる。
  2. 制作依頼に、用途・対象・表現・避けたい要素を含められる。
  3. 利用するサービスのポリシー上・機能上の制限を確認し、生成前に対応を判断できる。
  4. 生成物を公開前に、事実・権利・人物表現・品質の観点で確認できる。
  5. AI生成であることを示す必要性を判断できる。

3-1. 生成AIを制作工程のどこで使うか

生成AIは、完成品を無条件に作る機械ではなく、構成案、試作、言い換え、素材案を短時間で比較するために役立ちます。

制作物AIが支援しやすいこと人が確認すること
文章見出し案、構成、下書き、要約事実、引用、対象への配慮、最終表現
画像構図案、配色案、背景案、ラフ権利、人物表現、ロゴ・文字、用途適合
動画絵コンテ案、台本、字幕案、素材案映像の真偽、音声・肖像、編集、公開判断
音声ナレーション案、台本、読み方の案声の権利、本人同意、聞きやすさ、内容
資料スライド構成、図解案、要点整理数字、出典、デザイン、発表責任

3-2. 制作依頼に含める条件

画像や動画、音声では、文章以上に「何を作るか」と「何を作らないか」を具体的に伝えます。1章で学んだ構造化プロンプトの形を使うと、用途・素材・表現・制約・出力仕様を分けて確認できます。

以下は、1章のMarkdown見出しを使った画像用の例です。動画や音声でも同じ枠組みを使い、動画なら尺・画角・字幕、音声なら言語・話し方・読み上げ原稿などを追加します。実在人物の顔・声や権利のある素材を扱う場合は、3-3から3-5の確認を先に行います。【E1】【E4】

# 画像生成の依頼

## 用途・目的
地域の読書会を紹介するWebバナーを作る。

## 対象・入力資料
地域の大人と親子。イベントの正式名称・日時・場所は別途支給し、事実にない情報は加えない。

## 表現・構図
明るく落ち着いた水彩画風。本を囲んで会話する複数の架空人物。横長。

## 避ける要素
- 実在の企業ロゴ
- 読める文字
- 特定の人物に似た顔
- 既存作品を連想させる固有の要素

## 出力形式と確認
Web用の横長画像。文字を入れる余白を右側に残す。人物の指、背景の文字・ロゴ、用途への適合を人が確認する。
媒体構造化プロンプトで追加しやすい項目公開前の主な確認
画像画角、構図、色、文字用余白、避ける要素ロゴ、文字、人物表現、権利
動画尺、縦横比、場面構成、字幕、音声の有無映像・音声の誤認、人物・素材の権利、事実
音声言語、話し方、速度、読み上げ原稿、使用する声の条件声の権利、本人確認・同意、原稿の事実性

AIの出力は、依頼に含めなかった条件を満たすとは限りません。人物の指、文字、ロゴ、背景の看板、事実を示す図表などは、特に目視で確認します。

図表案:制作から公開まで

図表案(Mermaid記法)
flowchart LR
  A[目的・利用先を決める] --> B[権利・人物表現の条件を確認]
  B --> C[AIで案を複数作る]
  C --> D[人が選び修正する]
  D --> E[事実・権利・誤認を確認]
  E --> F[必要に応じてAI利用を表示]
  F --> G[公開・保存]

3-3. 権利と利用条件を確認する

生成AIと著作権の関係は、入力、学習、出力、利用目的、契約条件などによって個別に判断されます。既存作品や特定の作家・ブランド・人物に過度に依存した依頼や、他者の作品を無断で入力することは避けます。【E1】

確認するもの対応
入力素材の権利写真、音楽、原稿、ロゴ利用権限・契約・組織ルールを確認する
出力物の類似有名作品、ブランド、人物に似ていないか公開前に目視・必要に応じ専門確認をする
サービス条件商用利用、再配布、学習利用、表示義務利用規約とプランを確認する
人物表現実在人物、子ども、声、顔本人同意・肖像・なりすましのリスクを確認する
出典表示AI生成、参照素材、数値の根拠必要な表示と出典を付ける

著作権の最終判断は個別事情によるため、講座では一般的な注意を示し、重要な公開物は権利担当者や専門家に確認します。【E1】


3-4. サービスの利用条件と生成制限を確認する

生成サービスでは、利用規約・安全ポリシーに基づき、特定の依頼が拒否されたり、生成したコンテンツが削除されたり、継続的な違反時に利用が制限されたりすることがあります。また、契約プラン、年齢、提供地域、生成クレジット、混雑状況などにより、使える機能や生成回数が変わる場合もあります。【E4】【E5】【E7】【E8】

この表は例示です。 同じ会社でも、画像・動画・音声・API・法人向け製品では適用される規約と機能が異なります。以下は参照日時点の公式資料に示された代表例であり、全禁止事項の一覧ではありません。実際に使う直前に、利用する製品・機能・地域・プランに対応した公式資料を確認します。
提供者・対象公式資料に示される制限の例受講者が理解すべき点
OpenAIの製品・サービス同意なしに、真正性を誤認させ得る形で他人の写実的な画像・声を利用すること、未成年の性的搾取、詐欺・なりすまし等を禁止している。【E4】「作れるか」だけでなく、依頼内容・公開方法・対象人物の同意まで確認する。安全策の回避も認められない。
Google Gemini Apps(画像生成)ポリシー違反の可能性を検知した場合、画像生成の依頼に対する画像を削除することがあり、同意のない他人の画像利用や非同意の親密な画像等を禁止対象としている。【E5】【E6】生成後に表示されなくなる場合もある。繰り返しの違反では製品またはアカウントの利用が制限され得る。
Adobe Fireflyガイドラインに沿わない可能性がある依頼は「処理できない」と表示される場合がある。加えて、生成クレジット、利用条件、混雑・提供能力も生成可否に影響する。【E7】【E8】拒否は必ずしも法的な違法判断を意味しない。依頼を安全な表現へ修正し、ガイドライン・プラン・提供状況を確認する。
ElevenLabs(Professional Voice Cloning)Professional Voice Cloneは自分自身の声のみを対象とし、他人の声は同意があっても作成できないとして、本人確認を求めている。【E9】「本人の同意がある」ことと、「その製品機能で許可される」ことは別である。音声は特に対象機能の本人確認・共有条件を確認する。

生成前に行う3つの確認

  1. 製品と機能を特定する。 同じベンダーでも、Web版、API、法人向け、画像、動画、音声で条件が異なる。
  2. 公式資料を二種類確認する。 利用規約・安全ポリシーに加え、当該機能のヘルプ(地域、年齢、プラン、クレジット、対応形式)を確認する。
  3. 拒否時の代替案を用意する。 安全策を回避しようとせず、架空人物に変更する、自作・許諾済み素材を使う、表現を穏当なものへ修正する、担当者へ相談する。

3-5. 誤認・なりすましを防ぐ

AI生成の画像・音声・動画は、実写や本人の発言のように見える場合があります。人や組織に関する内容を作るときは、誤認させない表現を選びます。生成AIのリスク管理では、偽情報、プライバシー、偏り、コンテンツの真正性などを考慮することが求められます。【E2】

公開前の確認表

  • [ ] 実在人物に見える場合、本人の同意または適切な権利処理がある。
  • [ ] 特定の人物・団体が実際に発言・推薦・参加したように見せていない。
  • [ ] 生成物に含まれる文字、数字、地図、図表を原資料と照合した。
  • [ ] 商標、ロゴ、作品名、キャラクターに不適切な類似がない。
  • [ ] 必要に応じて「AIを用いて作成した素材を含みます」と表示した。
  • [ ] サービス規約と組織の公開ルールを満たしている。

3-6. ミニ演習:広報バナーの制作計画

実際に画像を生成する前に、次の制作計画を作ります。

  1. 利用先:Web、印刷物、SNSなど
  2. 対象者:誰に見てもらうか
  3. 伝えたいこと:一つに絞る
  4. 素材:自分で用意するもの、AIに案を頼むもの
  5. 避ける要素:実在人物、ロゴ、読める文字、誤認を招く表現など
  6. 公開前確認者:誰が事実・権利・表現を確認するか

振り返り

  • AIを使う目的は「完成品の自動作成」ではなく、どの工程の支援か。
  • 利用先に応じて、必要な確認や表示は何か。
  • 生成物を使わず、自分で作るべき部分は何か。

まとめ

  • 生成AIは構成案・試作・比較に役立つが、公開判断は人が行う。
  • 制作依頼には、用途・対象・表現・避けたい要素を含める。
  • 入力素材、出力物、サービス規約、人物表現、著作権を確認する。
  • サービスの安全ポリシーと、地域・プラン・クレジット等の機能上の制限を、利用する製品ごとに確認する。
  • 誤認やなりすましを避け、必要に応じてAI利用を分かるようにする。

次の講座

次は 4章「AIを活用したプログラミング」 で、AIを使ってコードや自動化の下書きを作る際の確認・テスト・安全性を学びます。

出典・エビデンス

本文の対象根拠資料確認した内容
生成サービスのポリシー・機能上の制限の例【E4】〜【E9】OpenAI、Google Gemini、Adobe Firefly、ElevenLabsにおける利用禁止、拒否・削除、機能・本人確認等の代表例
AIと著作権、利用時の個別判断【E1】生成AIと著作権の関係についての文化庁の考え方・ガイダンス
偽情報、プライバシー、偏り等のリスク【E2】生成AIのリスクを設計・利用・評価で管理する必要性
コンテンツ制作の利用検討【E3】コンテンツ制作に生成AIを用いる場合の法的留意点・対応策の整理
  • 【E1】 文化庁, *AIと著作権について*

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html

  • 【E2】 NIST, *Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile*(NIST AI 600-1、2024年7月26日)

https://doi.org/10.6028/NIST.AI.600-1

  • 【E3】 経済産業省, *コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック*(2024年7月5日)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/aiguidebook.html

  • 【E4】 OpenAI, *Usage policies*(発効日:2025年10月29日。利用前に最新版を確認)

https://openai.com/policies/usage-policies/

  • 【E5】 Google, *Generative AI Prohibited Use Policy*(Gemini Apps Help。利用前に最新版を確認)

https://support.google.com/gemini/answer/16625148?hl=en-gb

  • 【E6】 Google, *Generate & edit images with Gemini Apps*(Gemini Apps Help。利用前に最新版を確認)

https://support.google.com/gemini/answer/14286560?hl=en

  • 【E7】 Adobe, *Troubleshoot unprocessable prompts in Adobe Firefly*(2026年4月1日更新)

https://helpx.adobe.com/firefly/web/troubleshoot/prompts-can-t-be-processed.html

  • 【E8】 Adobe, *Troubleshoot content generation issues in Adobe Firefly*(2026年4月9日更新)

https://helpx.adobe.com/au/firefly/web/troubleshoot/unable-to-generate-content-or-images.html

  • 【E9】 ElevenLabs, *Can I create a Professional Voice Clone of someone else's voice?*(利用前に最新版を確認)

https://help.elevenlabs.io/hc/en-us/articles/36842751624209-Can-I-create-a-Professional-Voice-Clone-of-someone-else-s-voice 参照日:2026年7月14日。サービス規約、権利処理、表示義務は利用先・地域・プランにより異なり得ます。

図表案として記載されているMermaid記法は、内容を確認できるコード形式で掲載しています。